「四獣珠のチカラも、数値で見えるのか?」



「いいえ、分析不能ですよ。三次元での物理学では、奇跡や運命は論じられない。でも、そこにチカラが存在することは感じられます」



「両方、本物だと?」



「ええ。まったく同じ白獣珠が二つ、確かに存在している。その謎は、師央くんの言葉を信じるなら、解ける」



オレは胸に手を当てた。


チカラの存在を感じるっていう表現は、わかる。


オレとよく似た、でもオレとは別の鼓動。わずかにひんやりとした、体温のような熱がここにある。



白獣珠は生きている。


快と不快とを感じる本能のようなものを持っている。


そして、その本能がオレに繰り返し告げる――因果の天秤に、均衡を。



師央も胸に手を当てていた。


きっと同じ存在を感じている。