「繰り返しになるんだけどね、ぼくの視界は、数値で満たされています。露出した部分の筋肉の動きも読める。唇と舌の動きも、もちろん、その範疇ですよ」



師央がまくし立てた。声はない。


海牙は師央を見つめていた。


師央が口を閉ざしたとき、ひとつうなずいた。



「つまり、こういうことですね。きみは未来から、運命を変えるために来た。二度、時間をさかのぼった。そのどちらにも、白獣珠を使った。


一度目は、伯父の命を代償にした。二度目は、きみの声を代償にした。時間跳躍《タイムリープ》の理由を話すとき、きみは声を失う。その代償を命じたのは、未来のぼくだ」