「知らなくて当然です。ぼくは、この時代の人間じゃないから」



「へぇ? じゃあ、未来からきた、とでも?」



師央がうなずいた。


そのとたん、オレの胸に不安が差した。いや、不安以上の不吉な何か、だ。


問題の核心に触れようとしている。


触れれば、否応なしに危機に近付くことになる。そんな気がする。



「師央、そいつに話すのか?」



「はい」



「信用できるのか?」



「海牙さんは、敵ではないはずです。だって、__してまで、ぼくを__のは……」



師央が口をつぐんだ。悔しげに唇を噛む。


海牙が、くすりと笑った。



「“自分を犠牲にしてまで、ぼくを過去へ送ったのは”? 続きを話してもらえませんか?」



師央が目を見張った。



「どうして、ぼくの言葉を?」