師央が大きく動いたようには見えなかった。


ただ、師央の左肩を中心に、海牙の体が弧を描いて投げ飛ばされた。



さすがにというべきか、海牙は、地面に叩きつけられはしなかった。


寸前で衝撃を受け流している。



「ああ、びっくりしました」



海牙は身軽に立ち上がった。


いつの間にか、師央の腕が振りほどかれている。


師央が海牙を見上げた。



「ぼくは習得《learning》できるから、あなたの言葉をもとに、あなたの体感を想像して、今のチカラを使いました」



「おもしろい能力ですね。きみみたいな能力者がいるなんて、初めて知りましたよ」