大好きの気持ちも
大嫌いの気持ちも
教えてくれたのは君だった。
初めて夜が少し寂しいことを知った。
初めて自分以上に大事な人を見つけた。
初めて
失恋した。
キスをした。
嬉しくって涙が出た。
私に恋を教えてくれたのは君だった。
「よし、なんか歌うか。」
「ラブソング歌ってよー!」
「誰が歌うか。」
「アッハハ…」
同窓会があったあの日、
きっと私たちの運命は動き出してたんだね。
あの日の延長みたいに、
また葵とカラオケに来てる。
もう決まってたんだ。
あの日、葵に唇を奪われた瞬間から
よく言えば運命…
でも、呪いのように
君としか結ばれない定めだったんだろう。
大嫌い
何百何千と唱えたコトバ。
唱えた数だけ私は君に落ちていった。
大嫌いな幼なじみと再会した場合
私の運命の歯車が回り始める。
今日もまたコトリコトリと
軽やかに、小さな音を立てて
私を動かしている。
fin.
こんにちは!
にった宇弥ですm(__)m
『大嫌いな幼なじみと再会した場合。』を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
更新がノロノロで、連載中も本棚にいれていて下さった方々、すみませんでしたっ…
やっぱ恋って、付き合うまでが一番キュンキュンするよなー…
と思い、今回は付き合う前までを濃く書かせていただきました。
ちょっとでもキュンキュンしていただけたのなら光栄です(*´-`)
恵麻は大人っぽい単純・一途な女の子
葵に振り回されてばっかでした…
それもまた嬉しいある意味ドM。
葵は俺様、同じく一途なS男子
嫉妬深いので恵麻がナンパとかされたら、とりあえず殴ります。
つたない作品でしたが、感想とか、ご要望とか、是非お教えください♪
またお会いできることを期して
2015.10.3 にった宇弥
「一睡もできなかった。」
「ギャッハハハハハ」
鎌倉小旅行2日目の朝
寝不足でイラつく俺を豪快に笑い飛ばす滝沢を殴る。
「いってぇ…
ま、お前も苦労してんのな。」
上から目線でさらにいらっとする。
「チッ…」
「舌打ちやめろやー」
そりゃ離してるとは言っても、所詮同じ部屋のなかで恵麻が寝ているわけで…。
欲との葛藤でろくに寝ていない。
恵麻はと言うと、もちろん気持ち良さそうに寝息を立てていた。
「あーおい。テンション低いよ!」
恵麻が寝不足とは程遠い笑顔で俺に声をかける。
「別に。」
「あ、寝起きだからか!」
「プックククク…」
「滝沢笑うな。」
「え?何?」
何も分かっていない様子の恵麻。
のんきなもんだ。
「恵麻、大仏の近く行くぞ。」
「うん!」
滝沢が変なこと言い出す前に恵麻を連れてバカップルから離れた。
「葵、ちょっとお手洗い行ってくるね。」
「あーうん。」
パタパタと小走りで去る恵麻を見送り、
近くのベンチに座った。
徹夜明けは辛い。
あー、なんか寝そう…。
「…あのー………」
「…………」
「すみません!」
二回声をかけられて、ようやく自分が話しかけられていることに気づいた。
「はい?」
話しかけてきたのは二人組の女だった。
多分大学生くらいだろう。
「よかったらご一緒しません?」
「お昼ご飯一緒に食べましょーよ!」
なにこれ、逆ナン?
東京でされたことは何回かあったけど、
こんなところに来てまでされるなんて思ってなかった。
「俺、今日は彼女と…「葵…?」
少し震える声の先を辿ると
案の定眉毛をハの字にした恵麻が立っていた。
「え、もしかして彼女さん?」
「なんだ、彼女持ちかー」
「残念ながら。」
「くそー、失敗」
「じゃあねー」
去り際、無理やり握手された。
女たちが去ったあと、恵麻の方を見る。
完全にむくれている。
「なに怒ってんの?」
「………手、触った…。あの人たち。」
「何?やきもち?」
やべ、にやけそう。
恵麻はさらにむくれた。
「やきもちしちゃ悪いですか!」
あー、くそ
恵麻がめちゃくちゃ可愛い。
「恵麻だって文化祭でナンパされたんだろ」
「私はちゃんと嫌がったもん!
なのに葵は握手まで…」
「俺だって嫌がってたよ。」
なかなか機嫌を直さない恵麻を手招きして、隣に座らせた。
「たまには俺だって嫉妬させたい。」
山口だったり、あの元カレのやつだったり、バレンタインのときのやつだったり…
恵麻はモテすぎなんだ。
「それはこっちのセリフだし…」
そう呟くと、恵麻は俺の肩に頭をもたれかけた。