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「急に取り乱しちゃって…よく考えれば浩介君のことだってわかることなのにね。」


「……浩介?」


俺は彼女の言葉に首を傾げる。
すると「初めて会った時言ってたじゃない。」と彼女も首を傾げながら答えた。


「ああ、あれはそういう意味じゃないって。」


「え?」


「あげないって言ったのは"浩介の親友"ってポジションのことで、別に恋愛じゃないから。」


「だ、だってあたしがライバルって話した時、否定しなかったじゃんっ。」


「由宇があまりに突拍子ないこと言うから面白くてさ。別にいいかなーって思って。」


「な…っ、酷い!なにそれ」


「ごめんね。」


真っ赤な顔して動揺している彼女はかなり可愛い。
だってあの時は気を惹きたくて仕方なかったんだ。
彼女の中に、自分の居場所がほしかったんだ。


「でもあの勘違いのせいで今こうやって話したりしてるわけだし。よかったでしょ?」


「そ、そうだけど」


「ならいいじゃん。ね、もう怒ってない?」


「…もう……怒るってより自分に呆れたよ。」


うなだれる彼女に、また俺は笑ってしまった。

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