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そもそも、告白を断る理由など、「恋人がいる」や「好みじゃない」など、選択肢は多くない気がするが。
だが彼女は、


「はぁ?!」


とテーブルを叩き、立ち上がった。
俺は揺れる自分のコーラと彼女のレモンティーを掴み、倒れるのを避ける。


「由宇、危ない。」


「あ、…だ、だって」


「はいはいビビらせてごめんね。
だから座って。恥ずかしいから。」


「あ…うー…」


彼女は他の客の視線に気づき、顔を真っ赤にして座った。
素直な反応が可愛い。
そんなことを考えながら掴んでいた二つのグラスから手を離すと、両手は水滴でベトベトだった。
中身が少し温くなってしまったかもしれない。


「ご、ごめん。」


「いいよ、前も同じことあったし。」


俺はおしぼりで手を拭きながら苦笑する。
血液型の話の時も同じことがあった。
彼女は感情で動きやすいらしい。

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