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「確かに茜は線細くて綺麗だけど、柔らかくないし、硬いし、優しくないし、酷いし、胸ないし。
ほら、男じゃん。」


「ほらって……」


そんな、女的特徴やさわりごこちの話をしてるわけじゃないんだが。


「なんだよ、まだ文句言うのか?
誰に何言われたっていいじゃん。
そのたびに僕が今みたいに"お前は男だ"って言ってやるからさ。」


「……」


彼が胸を張って言うので、俺はそれを見つめた。


「茜?」


「大丈夫、聞いてる。さんきゅ。」


ちょうど信号が青になったので、俺は足を進める。
それに「待てって」と、彼はついてきた。

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