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周囲が息を呑むのを感じた。
すかさず、田村が「どうしたんだよ」と慌てて俺の手首を掴んできて、さすが運動部と頭の隅で思った。
痛みを少し感じたが、そんなことどうでもいい。
浩介の目に、苛立った俺の顔が見えた。

どうしたじゃない。
なんでなんでなんで。


「茜、痛い。…どうした?」


「っ…」


浩介は俺の手に触れ、離すよう促す。
だが、離そうとするのに指が離れないし、力もはいらない。
衝動的な行動に意識がおいてかれたような感じで、俺は顔を伏せた。
そんな俺に浩介はため息をひとつ吐き、指を一本一本離していった。


「茜」


「…ごめん」


「謝らなくてもいいけど、…なんでそんなに泣きそうなの。」


「…!」


浩介の言葉に弾かれたように頭を上げた。

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