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「僕ね、彼女できたんだ。」


ヘラリと言った彼の言葉に、俺は引き剥がす手を止めた。


「彼女…?」


「そ。僕最近帰るの早かっただろ?
あれね、彼女にアピールしに行ってたんだ。
僕の片想いだったから。」


浩介が何か言ってるのはわかったが、内容が頭に入ってこない。
浩介が最初に言った言葉だけが頭の中を反芻した。


「一目惚れでさ、その日に告白して、不審がられたから友達から始めて。
昨日やっとオーケーもらったんだ。」


「で、どこの子?」


田村が興味津々に尋ねると、俺のほうを向いていた浩介はそちらを向き、笑った。


「香桜女子の2年生。年下の彼女さー。」


「っ、なんで」


苛立ちを声にしたのと同時に、俺は浩介の胸ぐらを掴んでいた。

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