石造りのホームと、木で作られた既に随分老朽化している気持ち程度の小さな待合室。そしてくたびれたおじさんがぽつんと改札に立っているだけの、寂れた駅だった。

「すみません、ここからシジョウ駅はどうやって行ったら良いでしょうか。電車を間違えてしまったみたいで、帰り方が分からないんです。」

「シジョウ駅…?そんな駅は知らないね。切符は?」

無愛想な駅員である。
ちょっとくらい調べてくれてもいいだろうに、田舎の駅員にはなぜだか愛想の悪い人が多い。

おそらく膨れっ面になったまま、切符を駅員に差し出した。感情を隠すのが苦手なのだ。

驚いたことに駅員は切符をそのまま受け取った。海が見えるほど遠くに来たのだから、追加運賃を取られると思ったのだが。
田舎だとこんなものだっただろうか。