そして気がつくと、電車に着いた窓から強い日差しが差し込んでいた。

変化に鈍い私ですら、さすがに違和感を覚えてスマートフォンから顔を上げた。


乗っていたのは地下鉄だ。日差しが差し込んでこようはずもなく、駅に着けば駅の明かりは入ってくるが、こんなに強く眩しい光ではない。

何かが変だ。


顔を上げた私の常々何も見えていない瞳に写り込んで来たのは、鮮やかな青。

昔は好んで見て、描いた、あの美しい夏特有の青。

自然が作り出すあの青いグラデーションの、美しいことよ。久しぶりに目を合わせたそれに暫く目を奪われ、ふと我に返った。