ぞくりとするようなその思考を、頭をブンブンと振ることで追い出した。

きっと、聞こえなかっただけだ。

男の子の方はお出かけに夢中な様子であったし、母親であるからには普段より興奮して注意力のなくなっている子どもから目を離せなかったのだろう。


そう言い聞かせながらも、先ほどまで緩んでいた気持ちが、きりきりと締め上げられていくような気がした。