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 なんとか抜き打ちテストを終わらせ、1時間目が終わった。

 うーん、私はこれからどうしたらいいんでしょうか。

 瑠珂くんに話し掛けるべきなのか……無視するべきなのか、はたまた孝くんか聖くんのところに行った方がいいのか……。

 そんなことを考えていると、何やら周りからたくさんの視線を感じたので、そっと顔を上げた。

 クラスメートのみんなが、私の方を見ていた。……否、席に座ったままの瑠珂くんの方を見ていた。

 釣られて私も瑠珂くんの方を見ると、彼は熱のこもった優しげな瞳で私のことを見つめていた。


「……る、瑠珂くん?」


 話し掛けない方がよかったのかもしれないけど、そんな瞳で見つめられたら話し掛けざる得ない。

 何より、気になるし……。


「なーに?瑞季」


 ニコッと、笑顔で言われる。けど、その台詞、そのまま瑠珂くんに返したいよ……。


「あ……あの、私の顔に何かついてる?」

「うん!ついてる」

「えっ?!」


 登校前にちゃんと洗顔してきたのに……!

 みっともない顔を見られたくなくて、思わず両手で顔を隠すと、瑠珂くんはクスッと笑った。


「瑞季ってば、かーわい」

「だって……!」

「ん、ついてるよ?目と鼻と口と耳と……あとは、眉なんかも」


 ……え?