「さて、龍宮司弟の点数は……」


 しかし、次の瞬間、先生は絶句した。どうしたのかと気になった私は、そっと覗き込んでみる。

 ――うわ、百点満点だ!すごい!

 確か、1年生の復習問題と……これから習う2年生の問題に混じって、1問だけ3年生の時に習う問題が書かれてあったんだっけ。後に先生が意地悪そうに言っていた。

 ……まあ、だから当然、私たち2年生の中には誰も全問正解の人はいなかったわけなんだけれど。

 ――って、あれ?

 瑠珂くんのテスト用紙には、赤い字で百点満点と表記されている。つまり、全問正解しているということ。……えっ?全問正解?


「す、すごい……満点だ」


 ぽつりと漏らした私の言葉に、クラスメートのみんなはぎょっとした形相でこちらを向いた。


「ま、満点?」

「嘘だろ?」

「あの難問を解いたのか?」


 信じられないといった面持ちで、途端にざわざわと騒がしくなる教室。

 欄には瑠珂くんの名前がちゃんと書かれているし、久しぶりに見るけれど字は瑠珂くんのものだ。つまり、本物の瑠珂くんテスト用紙。

 ……どうして2年生にのみ配られたはずのテスト用紙を、1年生の瑠珂くんが持っていたのかは謎だけれど。

 すごいことに変わりはない。