「なんの日数か、分かる?」

「えっと、1年間の日数……?」

「そ。――正しくは、“俺が瑞季に会えなかった”1年間の日数だけど」

「えっ」


 そっ、そりゃあ……私達の歳の差は約1年分だし、中学校と高校じゃ予定も違うから、会えなかったのは仕方がないと思うんだけれど……。


「だから、」


 瑠珂くんのまっすぐな瞳が、私の目を捕らえて離さない。視線が、逸らせない。


「会えなかった1年分、瑞季の傍にいさせてくれたっていいだろ?」

「そ、そんなこと……」

「あー、イチャつくのは一向に構わんが、するなら余所でやってくれ」


 い、イチャつく……?!私、そんなつもりは一切ないんですが……っ?!


「それと、龍宮司弟。何があってもお前が1年のことに変わりはないから、ちゃんと自分の教室に――」


 ――バンッ!

 先生が話している途中、瑠珂くんは自分の机を叩いた。いや、正確には1枚の紙を叩きつけていた。


「なんだ?この紙は……」


 叩きつけられた1枚の紙を持ち上げ、先生は「ほお……」と何やら満更でもないような声を漏らした。


「お前らが2年になってすぐに配った、あのテストじゃないか」


 先生は、辺りにいる自分の教え子たちをぐるりと見渡しながら言った。