「病院送り……って。ははは、龍宮司兄は冗談がキツイなぁ!」


 先生はそう言って笑うけれど、額には汗が滲み出ているのが見えた。

 大方、冗談だと思って笑い飛ばそうとしたんだろうけれど、次の瞬間、瑠珂くんの方を見た先生は言葉を詰まらせた。

 私も釣られて瑠珂くんに視線を向けるが……そこには私の方を向いてニコニコと微笑む彼がいるだけ。

 ……もしかして、私が瑠珂くんを見ていない間、昼休みに見たあの冷酷な瞳を先生に向けていたりした……のかな?


「星河……お前からも、なんか言ってくれないか?」

「えっ」


 でも……私が2人の注意を聞かずに近付いたのが原因なら、私がなんとかしなくちゃいけない、よね?

 よ、よーし……!


「瑠珂くん。みんなも困っているし、自分の教室に戻ろう?」

「やだ」


 即答……?!


「そんなこと言わずに、ね?1からちゃんと勉強しないと、授業についていけなくなっちゃって、卒業できなくなっちゃうよ?」

「……365日」

「え?」


 突然、瑠珂くんの口から出た言葉に、私は思わず聞き返していた。

 クラスメートのみんなも、「この会話はいつ終わるんだ」と私達の様子をちらちらと伺っている。