「“瑞季”?……おい、星河。これはどういうことだ?」


 矛先を私に向けないでください!私にもさっぱり分かりません!


「私にも何がなんだか分からないんです……」

「む、そうか。なあ、龍宮司兄。お前からもなんとか言ってやってくれないか。このままじゃ授業にならん」


 先生は聖くんの方を見たけれど、彼は静かに首を横に振った。


「こうなってしまった以上、誰も瑠珂をとめることは出来ないっすよ」


 それって……聖くんでさえお手上げ状態っていうことっ?!

 聖くんはちらりと私の方を向き、ジトーッとした目を向けてきた。

 た、確かに、「あんたが瑠珂を幼馴染みの1人としか見ていないのなら、今後一切、瑠珂には近付くな」って言われたのにも関わらず、近付きはしたけれど……それが原因なの……?

 孝くんが近付くなって言ったのも、もしかしてそれに関係していたりするのかな?

 注意されていたのに私は瑠珂くんに近付いた。だから瑠珂くんは今、私の隣にいる……?


「龍宮司弟の担任を呼んで連れ帰ってもらうか、俺が引きずってでも連れていくしかないのかねぇ」


 先生が困ったように頭をポリポリと掻くと、すかさず聖くんが口を開く。


「あっ、それは絶対にやめた方がいいっす。病院送りにされますよ」


 ……えっ?