もうどうでもよかった。反射的に私の口はこう言っていた。


「泊めてよ」


男は困っているようだった。


「お前、家出でもしてるの?」


私はしぶしぶ頷いた。


「狭いけどいい?」


「泊めてくれるの?」


「別にかまわねぇけど。もうすぐ仕事だから、外に出んなよ」


安堵の気持ちが湧き、私はほんの少し笑った。


笑う事を私は忘れていたから、自分でも驚いた。