「おい!」


背後で大きな声が聞こえたので振り返ると、月がいた。


肩で息をしているのは、走ってきたせいなのかな。


「真美!お前にはまだ居場所がある。家がまだあるんだ。俺みたいになるな!」


「......」


「俺は両親もいない。一人で生きると決めた時から、居場所をなくしたんだよ。お前はそれをわかってない」


雑踏の中に私達は佇んでいた。道行く人々は皆振り返り、また足を早めていく。


行き着く場所は皆同じ。「Home」。