『キャーーーーーー!梶山せんぱーーーい!』

「奈緒、試合が始るよ!」

ふざけていた翔子が立ち上がって目をキラキラとさせ始めた。

「翔子、サッカーのルール知ってるの?」

「知らない。でも奈緒もでしょ?」

「うん、まぁね(笑)」

奈緒はピッチに立つ10番の背中を見つめた。周りの興奮は最高潮の中、色んな選手の名前を叫び出す。
でも、奈緒は誰かの名前を叫ぶことはなかった。

そして、サイレンの音とともに試合が始まった。


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