付き合っていないのにキスをした。 それから私たちは付き合ったけど、もし付き合っていなかったら、私はきっと今田辺先輩と同じ立場だった。 「もう戻りますね」 「陽菜っ」 私を呼び止めようとする先輩に、ニコッと少しだけ微笑んで、屋上を後にした。 私は一体何がしたいんだろう。 何を言ってほしかったんだろう。 私はこんなことを言いたいわけじゃなかった。 こんな感じになりたいわけじゃなかった。 この変な感情は何なの……。