「翼先輩、もう他の子とこうやって抱き合ったりしたら嫌です。
キスもしてほしくないです。
こんな私ってわがままですか?」
抱きつきながら顔を上げて、至近距離で目を合わせる。
先輩は愛おしそうな瞳で私を見つめる。
そして、口角を少し上げた。
「陽菜、かわいすぎ。
一生俺の腕に閉じ込めときたい。
もう止めらんないよ」
私の顔を上に向かせて、伏し目がちに整った顔が近づいてくる。
私もそっと目を閉じようとした。
だけど、ふと脳裏に田辺先輩の顔が過ぎった。
「やっ」
そして、思わず先輩の肩を押し返して拒否してしまう。