挨拶の言葉は途中で止まってしまう。 私の目の前にいるのは大希くんだったから。 私に挨拶をしてきたのは大希くん? その瞬間、今まで頭の片隅に寄せていた体育祭での出来事が、引っ張られるように出てきた。 体育祭でのことは現実で、嘘じゃなくて本気なんだよ。 そう言われた気がした。 「挨拶も返せねーのかよ」 「いや、ちがっ……おはよう」 何とか返すと、前みたいな優しい笑顔になって、自分の席に行った。 その姿にポカンとする。