今でも速い鼓動がどんどん速さを増していく。
やばい、このまま壊れてしまいそう……。
でも、別に先輩になら壊されてもいいって思っている自分もいた。
私、奥村先輩のことがす―……。
「そんなとこでイチャつくなよ。
すげぇ目障り」
その声でハッとして、先輩と離れた。
今日は祭りで、たくさんの人が行きかっている場所なのに。
雰囲気に呑まれるところだった。
「あっすいま……大希くん……」
謝ろうと顔を上げた時に目に映った人物に驚く。
目がこの薄暗さに慣れたから、誰かってことは簡単に判別できた。
私たちの前で睨んでいるような大希くんがいた。