浴衣に似合う巾着と下駄まで貸してもらっちゃって、何か申し訳なくなる。
今度、花香ちゃんにお礼としてチーズケーキでも作ってあげよう。
「じゃあ、行ってくるね」
「頑張れ」
花香ちゃんに後押しされ、私は待ち合わせ場所に向かって歩き出した。
そこにはまだ待ち合わせ時間にもなっていないにも関わらず、奥村先輩の姿が見えた。
でも、何か大学生らしきお姉さま方に囲まれているみたいで、行きづらい。
どうしようかな、とオロオロしていると軽く頭を叩かれる。
驚いて前を向くと、さっきまでお姉さま方に囲まれていたはずの奥村先輩が。
「来てるんなら声かけなよ」
「す、すいません……」
「まぁいいよ。
じゃあ行こうか」
私に笑顔を向けてきた先輩はそっと右手を差し出す。
その手をジッと見つめていると、私の左手を握った。