花香ちゃんの部屋に入ると、1番に目に飛び込んできたのは綺麗な浴衣。
白地にピンクの牡丹らしき花が大きく何個か描かれていて、花びらも散らしてある。
「かわいい」
「でしょ?
陽菜に似合うと思って知り合いに貸してもらったの」
「え?」
「まずはメイクからね!」
その声と同時に、私は鏡の前の椅子に座らせられ、メイクをして浴衣に似合うアレンジをされて、浴衣の着付けもしてくれた。
その手早さに感動。
「できた。翼先輩がどんな反応するのか楽しみね」
「あ、ありがとう。
花香ちゃんは?」
「あたしは洸佑と行くことになったから、まだ時間に余裕があるし。
ほら、陽菜は早く行ってきな」
花香ちゃんは玄関まで来て、私を見送ってくれる。