昇降口まで一気に走り、靴をはき替えてまた走る。


走っている間は風が耳の近くでゴォゴォと音を上げて、息は浅く短くなり、苦しさで頭の中が真っ白になる。


真っ白に……なりたかったんだ。


あたしは無意味に見慣れた街並みを走った。


決して早いとは言えない速度で、それでも全力で走った。


気が付けば涙があふれ、頬を伝い、風に乗ってあたしの体から離れて行く。


泣きながら気が付いた。


あたし好きだったんだ。


光磨の事が、好きだったんだ。


だからこんなに苦しくて、ドキドキして、そして痛いんだ。


真っ白な頭に浮かんだ答えに、また涙があふれてきた。