そして不意に目の前の空席が気になった。


そうか……。


あたしは光磨ばかりを気にしていた。


だから目が曇ってしまっていたんだ。


見えるハズのものが見えなくなり、その蟲はどんどん成長していた。


あたしは以前自分の体にくっついていた秋の蟲の事を思い出していた。


あの時、もっときちんと周囲を確認していればこんなことにはならなかったかもしれないんだ。


今さら悔やんだってどうしようもない。


なのに悔やまずにはいられない。