「あぁ。拾ってやるよ。」

柔らかい風が彼の髪を撫でるように揺らした

『え?』

フッ


彼は柔らかく笑った。

彼の事を知りたい。
そう思った。

「拾ってやる。来いよ」
手を差し伸べる。

その手を・・・・
掴み取る。

「お前が俺を愛すのに時間はいらねぇな。」

『私は誰も愛さないわ。それに誰にも愛されない。』

彼から目をそらしながら言う。

「そーかよ。なら、俺が愛す。
来い。行くとこねーだろ?

俺がもらってやる。」


「ぜってぇ愛してやるから」

そう言った彼の瞳には嘘はなかった。

『ありがとう。』

彼だけは。
愛してくれるかしら。

私は彼の後ろを歩く。

ギュッ

彼は私の手を握った。

彼の手は季節とは反対に暖かい
「手ぇ、つめてーな」

『えぇ』

彼の名前なにかしら。

『あなたの家に着いたら名前教えてくださらない?』

「あぁ。そうだな」

また。笑った。