ピピピッピピピッピッ…カシャンッ

「ん、んん……」
朝からけたたましく鳴り響く目覚まし時計を止め、寝返りを打つ。
そして一度覚醒しかけた意識が沈んでいく。
と、そこで廊下をバタバタと忙しなく駆ける音が…。
バァン
「起きろ冬華!もう朝だぞ!今日から学校なんだぞ!?」
「……樂さんうるさい…もう30分寝かせて」
「だめ!起きなさい」

樂と呼ばれた男が布団をもぎ取る。
「ちょっと、返して…」

むっとしながら目を開けると樂の美麗な顔が迫っていた。

「…寝かせてくれてもいいのに、」
「駄目だ。学校はちゃんと行くって約束しただろう?」
「…分かってるわ。ただの冗談じゃない」

怒り口調で言われるとむす、と頬を膨らませながら体を起こす。
さらりと色素の薄い茶色の髪が揺れる。
薄桃色の唇から小さなため息を零せばすらりとした足をベッドからおろす。