草野の父はさらりとそれを承諾し、
そしてやはり自分の会社に草野を入社させるつもりだった。

「いつ頃から働き始めるのか、帰るまでに決めておけってさー」

えつこにはそれが少し冷たいように思われた。

浪江ほどではないが、叱ってやるのも
親のつとめではないのだろうか。

しかし草野ももう20歳、子供じゃないんだから自分の事くらい自分で始末をつけなくてはいけない。

「所詮こんなもんだよ」

草野はそう言うと、カバンの中から
カッターナイフを取り出す。