ある日、草野がえつこにカバンからカッターナイフを取ってくれと頼んだ。

えつこはからかって、ナイフをなかなか渡さず「リストカットやめるなら返してもいいよ」と言った。

「ふざけてないで、ほら」

草野は手を差し出す。

えつこは黙ってにこにこと笑っている。