「暇じゃねーよ。

つーか、〝今日も〟の間違いだろそれ」



ふっと笑った和泉が、私の頭に手を乗せて。



「──心配になるから、

俺以外の前であんま弱くなんなよ」



耳元で私にだけ聞こえるように囁かれた言葉に、顔が赤くなるかと思った。



──でも、大丈夫。きっと私は、和泉の前でしか弱くなれないから。あなたの優しさにいつも支えられてる、なんて。



「ねぇ、また近いうちに遊びに行くから泊めてね」



──絶対言ってあげないけど。




「はぁ?泊まんの前提かよ」



「前に言ってた映画でも観ましょう?」



「だめだこいつ話聞かねぇ。

まぁ、泊まればいいけど」



とりあえず、またな。



そう言って車に乗った彼を見送ったあと、「羽歌」と名前を呼ばれて。



「乃唯……どうしたの?」



私を抱きしめた乃唯が、なんだか甘えたように首筋に顔を寄せてくる。なんでもない、と言うけれど、どう見たってなんでもないようには見えない。