「あ、うん。和泉の車」
『……また泊まったのか』
学習しろ……と小さくつぶやかれて、うっと口ごもる。確かに、連絡を入れるのを忘れていた。
というか。
「あの、泊まるつもりはなかったんだけど……ね?」
『………』
「ほら、あの、
途中で眠っちゃって……」
──途中?と、彼が訝しげな声を出す。え、なんて言えばいいんだろう。まさか泣いてたなんて言えないし。
「と、とにかくもう着くから切るね!」
『あ、おい──』
彼の言葉を最後まで聞かずに、電話を切る。運転席に座る和泉は、「ある意味すげぇ問題発言だったよな……」とつぶやいていた。
「……言い訳は?」
「ごめんなさい」
「テメェ俺がわざわざ送ってやったのに和泉さんとこにいるってなんだよ。
しかも、お前……ひとりで出歩いた?」