彼の言葉があまりにも切実だから、笑みが漏れる。
「すれ違いと、言葉足らずと勘違い。
それが重なったから私たちはたくさん傷ついたけど、その分たくさん幸せを見つけたと思うの」
「……ああ」
彼らの過去の、すれ違いと。
私の、言葉足らずと。
それぞれの、勘違い。
それらが重なってしまったことで、不運にも悪いことがたくさん起きてしまった。
でも、その分だけそれぞれが幸せになれて。
「そういえば、稀沙だけずっと幸せだよな」
「あら、ほんとね」
「……ムカつく」
ぼそっと落とされたそれに、くすくす笑っていると、「羽歌ー」と和泉に名前を呼ばれた。
「じゃあ、和泉のとこ行ってくるわね」
「……羽歌」