「ふふ、ありがとう」
「ラブラブなんでしょ~っ」
「そんなんじゃないわよ」
「幸せそうだもん、羽歌」
「幸せなのは幸せだけど……」
「ほらぁ」
ラブラブじゃない、と否定する前に、「あ、またあとでね!」と名前を呼んだ夕咲の元へと行ってしまう。まったく。
「落ち着きのなさは相変わらずだな」
「乃唯……ふふ、そうね」
「ん。で、本当にいいのか?
姫に戻ってこなくて」
「うん、いいの。
あなたの彼女でもないし、自由に出入りさせてくれてるじゃない」
「……そうだな」
羽紗だって、まだ姫という位置に地位を置いてるけれど、もう夕咲の彼女だ。
「色々あったな、今年の夏は」