「やっと来た。遅かったなー」
「葉月テメェ、自分は迎えに行ってねぇんだから静かにしとけ」
「わーいずみんってば冷たいっ。
俺が失恋したっていう、痛い痛い痛い!」
「黙ってろ」
「ハイ」
「お前らは馬鹿か。
先代としての威厳ってもんを見せろ」
ハチさんが、はぁとため息をつく。それから、私を見て「元気そうで安心した」と声をかけてくれた。
──そういえば、会うのは岬の家で彼らがお酒を飲んでいた日以来だっけ。和泉の家で暮らしてるから、たまに電話で変わってもらうことはあるけど。
「すみません、心配かけて」
「いや。でもまぁ、よく和泉を選んだな」
「………」
「なかなかめんどくせぇぞ、こいつ」
「なぁハチ、お前俺に喧嘩売ってんだよな?」
「その分だけ、人を大切にできるヤツだから。和泉のこと、よろしくな」