「………」
「お前が意識を失うとき……
誰かが抱きとめたの知ってるか?」
「……うん」
「あれ、和泉さんなんだよ」
「え……」
そう、なんだ。
確かに、あの腕は和泉だったような気もするけど。
「あの時、和泉さんどこにいたか覚えてるか?」
「え?……入口の近くじゃなかったっけ」
「ああ。あの部屋の中で、1番お前から遠い位置にいたんだよ」
「………」
「なのに、もっと近くにいた俺よりも先に羽歌を抱きとめた。
それを見た瞬間に、負けたなって」
──好きだと、思ってしまう。和泉への気持ちがどんどん膨らんでる気がする。さっきまで一緒にいたのに、会いたいなんて思ってしまう。
「お前が目を覚ましたら、
羽歌が切り出さなくても別れるつもりだった」