「ふっ……かわい」
「なっ……」
「その赤い顔、あんま他のヤツに見せんなよ。
割と俺、独占欲つよいから」
「っ……」
甘いことばかり言われて、心臓がもたない。まだ好きとは言えないはずなのに、驚くほど鼓動がはやい。
「夕咲……」
彼から聞こえる鼓動は、優しくて落ち着いていて。でもどこかはやいから、彼も余裕げではないのかもしれない。
「そばにいて、くれる?」
「ああ、ちゃんとそばにいる」
「落ち着いたら、羽歌のところとダブルデートしようね」
「ん~、そうだな~」
彼の手が、優しく頭を撫でてくれる。
目を閉じて、彼の体温を感じながら。──そばにいて、と願いを込めて、彼の背に腕を回した。
【羽紗sideend】