羽歌に素っ気なくされているはずなのに、なぜか笑みがこぼれる。なのに、涙も溢れてくるから、自分の感情に制限ができない。



──でも、嬉しかった。



「お母様……っ」



「羽紗……!危ないでしょう」



「大好きですっ」



ぎゅうっと抱きついたら、お母様は諦めたのか「そう」と一言。



羽歌の素っ気ないところとお母様の素っ気ないところって、絶対似てると思う。というか親譲りだと思う。




「んじゃ、俺は帰るわ」



「ん、またね。

わざわざ来てくれてありがとう」



「お前は可愛く引き止められねぇのか」



「何やだ可愛いなんて私に出来ない」



「ったく」



和泉が羽歌に近づいて、耳元で何かを囁くと、羽歌はこくんと頷いた。

そして、優しく微笑んで和泉に「退院は手伝ってね」なんてきっちり頼んでる。



「仕事がなかったらな」