♪♪♪



『杏祐っ!!』

不慮の、事故。


信号無視の車に轢かれそうになった犬を助けに走ったのだ。


ダンスという名のミニチュアダックスフンドで、杏祐の近所の女の子が飼っている犬だった。


『キョウ兄ちゃんっ』

景色がスローモーションに見えた。


『コハルちゃん…大丈夫だから』

息も絶え絶えなはずなのに、泣きじゃくるコハルちゃんに笑いかけた。


救急車を呼ぶために電話をかける私に、優しく微笑んだ。


同乗したのは私だった。

コハルちゃんは親が回収した。