教室に人が全く入ってこない。


「杏祐…やっぱりおかしいよ。何で誰も来ないの?」

「…杏果は覚えてないんだね」


ふわりと笑う杏祐。


「杏果、星は好き?」

「星?星なんて気にして見てなかったからなー、まぁ嫌いじゃないけど」


星なんて今の日本みたいな都会じゃあまり見えないし空自体見ない。


私は昔からそんなロマンチックな子じゃなかったので、星もよく知らない。


中学の時に覚えた星座と有名どころ位。


「星って綺麗だよね」

「そういえば天体学者になりたいって言ってたね」


私の周りでは、ほとんどの女の子は彼氏に合わせて趣味を変えたり創ったりする。

それはすごく我慢強くて愛に溢れたことだけれど、私に言わせれば馬鹿げている。


だから杏祐の趣味に会わせたりしなかったし、杏祐も私の趣味に合わせることはなかった。


ただ否定せずに情報として頭の片隅に置いておく感じだ。