ねえ好きって言って 【完】

「あははっごめんごめん冗談だよ!」




恵恋は戸惑った様子の俺を見て
作り笑いをしていた。




そんな恵恋を見てて
何だか胸が痛かった。




「恵恋、昨日の女の子のことだけど」




恵恋を悲しませたくない。




不安がらせたくない。




「う、うん…」




恵恋、声が震えてる…
凪の言ってたこと
本当だったんだな。





-恵恋 side-




聞きたくない…




怖いよ…




それでも零太くんが
話してくれるっていうなら
ちゃんと聞いてあげないと。




きっと私のことを思って
話してくれるんだよね。




私は深呼吸をして落ち着かせた。




「あいつは俺の元カノなんだ」




ドキン




その言葉を聞いて胸が痛かった。




なんとなく分かっていたけど
いざ改めて言わせると
やっぱり辛かった。




「それでちょっと話してただけだから」
本当にそれだけ…?




零太くんはその子のこと
どう思ってるの?




何を話してたの?




聞きたいことが
たくさんある。




でも、それは怖くて口に出来なかった。




私は全てを飲み込んで
首を縦に振った。




「あいつとはもう何の関係もないから」




「…本当?」




「ああ」




その言葉を聞いて
安心できた。
って私さっきから
何考えて…




たた彼女のフリしてるだけなのに!




これじゃあまるで
零太くんのことが
好きみたいじゃん!




……好き?




「ッ……!」




顔が赤くなるのがわかった。




零太くんの一言一言に
一喜一憂して
これってもしかして…




「恵恋?顔赤いけど」

「なっなんでもない!!」




どうしよう
心臓の音が鳴り止まないよっ
「あっあのさ、零太くん…今週の日曜日によかったらどこか出かけませんか?!」




ちょ、私いきなり
何言っちゃってんの…




頭が混乱して
変なことを言ってしまっていた。




「あ~…今週の日曜日は用事があって。来週ならいいよ?」

「えっ本当に?!」




「うん」




零太くんはクスクスッと笑った。




どうしよう…
私今すっごく嬉しい!

零太くんの言葉一つで
こんなに喜んじゃって
本当に振り回されっぱなしだわ。




そして家まで送ってもらい別れた。




私は勢い良くベッドにダイブした。
「ふふっ零太くんとお出掛け♪」




顔のニヤニヤが
止まらなかった。




早く来週にならないかなっ




それにこのことを
綾乃ちゃんに報告しないとっ




色々考えていて
凪くんが頭を過ぎった。




そういえば告白どうしよう…




いつまでも返事しないわけに
いかないもんね…




明日学校で
ちゃんと返事をしよう!




私の心はもう決まってる。




そんな決意を胸に
明日を迎えたのだった。





-恵恋 side-




「凪くんいる~?」




お昼休みに凪くんのいる
教室へとやってきた。




そう、告白の返事をするために。




さっきから心臓が
ドキドキと鳴っている。




大丈夫、大丈夫よ。
ちゃんと自分の気持ちを伝えないと。




「あっ恵恋!どうしたの?」




わっ凪くんの笑顔だ。
すっごく可愛いんだけど…




凪くんのその笑顔が
今はとても眩しくみえた。




「あのっ告白の返事なんだけど…」




小声でそう言うと
凪くんはあ~と考える素振りをした。




「恵恋さ今週の日曜日って暇?」