ねえ好きって言って 【完】

は?俺が鈍感?バカ?
なに言ってるんだか。




「まっ俺は零太のこと応援してるから頑張れよ♪」




と、上から目線な発言だけ残し
望は教室を出ていった。




結局あいつは
何を言いたかったんだろう。




てか、何を頑張るんだよ。





凪と恵恋が一緒にいるって
聞いたときはすっげームカついた。




でもそれって恵恋が俺に
嘘をついたからだよな?

だからムカついたんだよな…?





-恵恋 side-




お昼休みも終わり
教室へ戻ると机で
突っ伏せている
零太くんの姿が目に入った。




昨日のことがあって
零太くんをつい避けちゃった。




だって何話したらいいかわかんないし…




あの女の子のこと聞きたいけど
真実を聞くのが正直怖かった。




零太くん絶対怒ってるよね。
避けられたりしたら
私だって悲しいし…




お昼休みに凪くんに
呼ばれて中庭へ行ったけど
凪くんと話すのも
少し緊張しちゃった。




昨日のこと零太くんに
話した方がいいのかな?




私が告白されたって言ったら
どんな表情するんだろう…?




賛成するのかな?
それとも…




考え事が多すぎて
いつの間にか
午後の授業は終わっていた。
「恵恋」




この声は……




そーっと振り返ると
眉間にシワを寄せた
零太くんが立っていた。




「あ、零太くん……」




ど、どうしよう。
零太くんめっちゃ怒ってるし。




「帰るぞ」


「えっあ、うん…」




そう言ってニコッと
笑った表情は私にとって
ただただ恐ろしいものでしかなかった。




教室を出ようとすると
凪くんがやってきた。




「零太、ちょっといい?」




その瞬間少し空気が
ピリついた気がした。
「……ああ、恵恋ちょっと待ってて」




「わ、わかった」




どうしたんだろう。




なんだか2人とも
変な感じだった。




2人が教室を出ていくのを
見送ると椅子に座って待つことにした。




なんだか嫌な予感がするな~…





-零太 side-




俺たちは空き教室へときた。




なんか凪怒ってるよな。




「凪、話って?」




凪は重い口を開いた。




「俺、恵恋に告白した」




はっ?




突然のことに言葉が出なかった。




告白?
おいおい、嘘だろ。




冷や汗が垂れる。




「な、なんで…」
「零太さ俺に嘘ついただろ」




「嘘…?」




「恵恋と本当は付き合ってないらしいじゃん」




ギクッ




な、なんでそのことを…
もしかして、恵恋が?




俺は言葉が出なかった。

凪が怒るのも無理はない。




「零太が嘘をついた理由はなんとなく分かる。でも俺が怒ってる理由はそんなことじゃない」




…違うのか?
じゃあ、何に怒ってんだよ。




「じゃあ、何に…」
「俺、約束したよな」




「約束?」




「恵恋を悲しませることはするなって」




凪の顔はいつも以上に
真剣そのものだった。




「は?俺がいつ悲しませたんだよ」




何言ってんだよ。
俺がいつ悲しませたっていうんだよ。




今日だって避けられてんのは
俺のほうだぞ?




「昨日校門にいた女の子あれ誰だよ」

「あー、あいつは…元カノだけど」

「零太あの時恵恋にきつい言い方して2人でどっか行ったよな?それをどんな思いで恵恋が見てたのか知ってんのかよ」




恵恋が…?
なんでそこに恵恋が関係してんだよ…




「別にあいつとはもう何の関係もないし」