ねえ好きって言って 【完】

「……大事にしてあげなよ」

「ああ」




「ところでさ！最後に1つだけお願いがあるんだけどいい?!」




お願い？
まあ、最後っていうんだから
別に聞いてやってもいいか。




「お願いって？」





「それはね……」

第４話

✽first✽

-恵恋 side-

「…恵恋、大丈夫？」




さっきの女の子誰なんだろう…
それに零太くんちょっと怖かった。




「ったく、恵恋がいるっていうのに他に女作りやがってさ」

「しょうがないよ、だって私は本当の彼女じゃないし」




「……え？」




あっやばい。


気づいた時には遅かった。
つい本当のことを話してしまっていた。




「恵恋、それどういうこと？」

「え、えっとその…」




ど、どどうしよう…！
凪くん真っ直ぐな目で見てくるし
これ以上嘘はつけないよ~！




私は観念して本当のことを話した。




別に零太くんの友達なら
話しちゃっても大丈夫だよね？

「零太……」




全てを話し終えると
凪くんは怒っているようにみえた。




「凪くん？どうしたの？」




なんでそんなに
怒ってるんだろう。

確かに騙しちゃったのは
悪いと思うけど……




「あ、いや。気にしないで。それより話してくれてありがと恵恋♪」




そう言って凪くんは
私の頭をポンポンと優しく
撫でてくれた。




「ッ……」

今、そんなに優しくされると…




「え、恵恋?!なんで泣いてるの?!」




堪えていた涙が溢れ出していた。




そんなに優しくされると
泣いちゃうに決まってるじゃんっ

「うぅっ、ごめんね。凪くん…」




何度も涙を拭っても
涙は止まらなかった。




女の子とどこかへ行ってしまう
零太くんを見てすっごく辛かった。

このまま帰ってこないかもって…




零太くん…会いたいよ。




「……へっ」




その瞬間私は抱きしめられていた。




「なっ凪くん?!」

な、なんで私を抱きしめて…
どうしたの?!




抱きしめられて
思考回路が上手く
働かなかった。




ど、どうしよう……

「俺っ恵恋が好き」





「……えっ?!」




ど、ど、どーゆーこと?!
私が好き?!えぇ?!




突然の告白に私の頭の中は
大混乱してしまっていた。




そして凪くんの抱きしめる力が
強くなった。




「恵恋が好きなんだ！」




「ちょっ、ちょっと待って凪くん」




私は凪くんの胸を押し返した。




ハァハァと乱れる呼吸を
深呼吸して落ち着かせる。




「ほ、本当に？」

「うん」

とても嘘をついているような
目には見えなかった。




凪くん、本当に私のことが…




「でも私は…」

嬉しいけど凪くんの
気持ちには応えられない。




私は………



「…やっぱ零太が好き？」

「な、なんで…零太くんのことは別に」

零太くんのことは関係ない、よ。
そうでしょ？




「でも恵恋をそんな辛そうにさせてるのって零太か原因だろ？」

「それは…」




その先の言葉は出なかった。




確かに零太くんのせいで
今こんなに胸が締め付けられるように
苦しいんだもん…




「今はまだ返事しなくていいから…また今度返事を聞かせて？」


凪くん…
そんなに優しく笑わないでよ…

じゃないとまたその優しさに
甘えちゃうから…

-零太 side-

翌日




教室へ入ると
恵恋の姿があった。




あれ、今あいつ
俺から視線逸らしたよな？
なんかあったか？




話しかけに行こうとすると
クラスの女子たちに捕まった。




「相良くん、相澤くんと友達なの？」

「２人ともかっこいいよね~」




あ~くっそ。
どいてくれよ。




俺が女子に囲まれていると
いつの間にか恵恋は
教室を出ていってしまっていた。




それからというもの
休み時間全て恵恋は
どこかへといってしまい
中々話しかけることが
できなかった。




「なんなんだよ、あいつ…」




明らかに俺の事避けてるだろ？