ねえ好きって言って 【完】

やばい、緊張して声震える。




「あ、俺だけど…」




零太くんの声は電話越しだと
いつもより低く聞こえた。




「早退したって聞いたから…」




えっもしかして
私のこと心配して電話を…?

どうしよう、すっごく嬉しい。




「なんか急に熱でちゃってさ」




余計に体温が上がる。




「そうか。じゃ、お大事に」




プーップーップー




それだけで電話は切れてしまった。
えっ?!それだけ?!




案外すぐ電話は切れてしまった。




もうちょっと話したかったのに…
電話切るの早すぎだよ~!




でも、電話嬉しかったな~
まさか零太くんが
電話してくれるなんて。




なんだかんだで優しいよね…




早く熱治して学校行きたいなっ




そして私は睡魔に襲われ
ゆっくりと眠りに落ちたのだった。





-恵恋 side-




次の日朝起きて熱を
計ってみると
微熱まで下がっていた。




よしっこれなら学校行ける。
準備しなくっちゃ!




私はるんるん気分で
学校へ向かうと
下駄箱で零太くんの姿を見つけた。




「あ」




私に気づいて
こちらを見ていた。




「おはよっ零太くん」

「熱下がったんだな」




昨日電話をくれたと思うと
なんだか気恥ずかしかった。




「う、うん!ごめんね心配かけちゃって」

「…心配なんかしてねーよ」




いたっ!
も~デコピンしなくてもいいじゃん。




零太くんはそっぽを向いてしまった。




「行くぞ」




その声と共に私は
零太くんの隣を歩いたのだった。
「恵恋ー!熱は下がった?大丈夫?」




教室に入ると
綾乃ちゃんが心配した様子で
駆け寄ってきた。




「あははっごめんね。もう大丈夫!」

綾乃ちゃんにも心配かけちゃった。
これからは体調管理気を付けないと。




午後の授業を終えたところで
少しだけ身体がだるかった。




やば、熱上がっちゃったかな。
でももう帰るだけだし大丈夫よね。




「恵恋、帰るか」

「あっうん…」




迷惑かけたくないし
気付かれないようにしないと。




私は無理に作り笑いをして
誤魔化したのだった。





-零太 side-




こいつ、顔赤くねーか?
気の所為?




もしかしてまた熱が…




そうは思ったが恵恋は
いつも通りの笑顔だし
俺の気の所為、だよな。




そんなことを思いつつ
校門を出ようとすると
後ろから声がした。




「れーいーたー!」




この声は凪か。




「俺も一緒に帰らせて!」




笑顔で玄関から走ってきていた。




恵恋もいるけど、まあいいか。

あれ?恵恋笑ってる?




「あれっ零太彼女と……ってあぁ!!」




なんだ?
なんで恵恋を見て指さしてるんだ?
「恵恋じゃん♪やっと会えた!」

「ふふっ久しぶり凪くん」




……はぁっ?!




は?どういうこと?
なんでこいつらが?




呆然としている俺を他所に
2人は仲良く話を始めていた。




「え、お前ら知り合いなの?」

「そうそう、転校前に偶然会って学校までの道を教えてもらったんだよ」

「そうなのっでも凪くんが零太くんの友だちだったなんて」




と、2人して目をキラキラさせていた。




なんだそれ。
…なんかイライラする。

どこから湧いたのか分からない
イライラに眉間にシワを寄せる。




にしてもなんでこいつら
こんなに仲いいんだよ。




俺のことなど
お構いなしといった様子だった。
てかさっきから凪の顔が
赤くなってるように
見えるんだが…




じっと凪を見ていて
あることを思い出した。




もしかしてこいつが
一目惚れした女って……




いやいや、それはありえないよな?




でも凪がこんなに
嬉しそうに話すってことは…




…まじかよ。




額に冷や汗が滲んだ。




「そういえば何で2人は一緒に帰ってたの?」




やべっついにきた。
本当のことを言うべきかどうしよう。