ねえ好きって言って 【完】

「そういえば、何で俺のクラスに来てたんだ?」




確か誰かの名前を呼んでたよな?
思い出せないけど。




「あ!そうだった!人探ししててさ」

「ふ~ん、そうなんだ」




こっちに俺以外で
知り合いいたんだ。




「その子めっちゃ可愛くてさ~一目惚れしたんだよね」

おいおい、まじかよ。
一目惚れって……
そんな可愛いやつなんていたか?




凪は目をキラキラと輝かせ
うっとりした表情をしていた。




「でも見つけられなくてさ~」




そう言うとシュンとしていた。




「明日も探してみるかぁ~」

「…見つかるといいね」




凪が一目惚れした女っていうのは
気になったがそこまで興味はなかった。
「てか、零太って彼女いるっ?!」

「は?何で…」




うわっ聞かれたくねーこと
聞いてきやがったな…




「だって零太かっこいいし、クラスの女の子たち零太見て騒いでたし」




本当いい迷惑だっての。




「あ~でも零太女に興味ないんだろ?それなら彼女はいな「いるよ」




「……えぇっ?!そうなの?!誰?!」




凪は驚いた表情で
俺へと迫ってきた。




「名前言ってもわかんねーだろ」




とりあえず凪には
フリしてることは黙っておこう。

またいつか話せばいいんだし。




「まあ、そうだけど~」
何男のくせして拗ねてんだよ。




「また今度会ったら言うよ」


「言ったな?約束だからな!」


「ああ」




それからも俺たちは
他愛のない会話をしながら帰った。




家に帰って俺は少し考え事をしていた。




そういえば、恵恋…
熱出て早退したって言ってたっけ…




住所の紙貰ったが
結局行ってないし…




って、別に行く必要ないだろ!
何考えてんだ俺…




いやでも、電話くらいなら…
うーん……
何でこんなに悩んでいるんだよ俺。




あ~もう!
何で熱なんか出してんだよ!





-恵恋 side-




頭がぼーっとする。




新学期早々熱出すとか…
ほんと最悪。




家のベットで横になっていた。




零太くんとも全然話せなかったし。
あ~私のあほ~!




どうしよう、やることないし
もう一回寝ようかな。




そして目を瞑ると
携帯が鳴り出した。




「れ、零太くん?!」




突然の零太くんからの着信だった。




ど、どうしよう…
とりあえず出たほうがいいよね。




「も、もしもし…?」
やばい、緊張して声震える。




「あ、俺だけど…」




零太くんの声は電話越しだと
いつもより低く聞こえた。




「早退したって聞いたから…」




えっもしかして
私のこと心配して電話を…?

どうしよう、すっごく嬉しい。




「なんか急に熱でちゃってさ」




余計に体温が上がる。




「そうか。じゃ、お大事に」




プーップーップー




それだけで電話は切れてしまった。
えっ?!それだけ?!




案外すぐ電話は切れてしまった。




もうちょっと話したかったのに…
電話切るの早すぎだよ~!




でも、電話嬉しかったな~
まさか零太くんが
電話してくれるなんて。




なんだかんだで優しいよね…




早く熱治して学校行きたいなっ




そして私は睡魔に襲われ
ゆっくりと眠りに落ちたのだった。





-恵恋 side-




次の日朝起きて熱を
計ってみると
微熱まで下がっていた。




よしっこれなら学校行ける。
準備しなくっちゃ!




私はるんるん気分で
学校へ向かうと
下駄箱で零太くんの姿を見つけた。




「あ」




私に気づいて
こちらを見ていた。




「おはよっ零太くん」

「熱下がったんだな」




昨日電話をくれたと思うと
なんだか気恥ずかしかった。




「う、うん!ごめんね心配かけちゃって」

「…心配なんかしてねーよ」




いたっ!
も~デコピンしなくてもいいじゃん。




零太くんはそっぽを向いてしまった。




「行くぞ」




その声と共に私は
零太くんの隣を歩いたのだった。