夏祭り当日。

「いやぁ、来ると思ってたよー」

「あ、宇佐美くん来てくれたんだ!私服もかっこいい…」

「そりゃあ、どうも」

俺はTシャツにジーパンだけど、女子とかは浴衣姿で盛り上がってる。

「宇佐美!!」

「…?」

俺と同じTシャツ姿の高村と浴衣姿の鈴木がこっちに走ってくる。

その後ろからトコトコついてくる影。

「ちょっと…千春ちゃん…!!」

「何隠れてるの!?鈴ちゃん!ほらほら…」

鈴木に押されて、前に出てきたのは浴衣姿の合田だった。

いつもはおさげの黒い髪を、後ろで束ねて、

青色の浴衣を着て恥ずかしそうに顔を赤くしている合田。

「……」

「ね?鈴かわいいだろ?」

「眼鏡も外した方がいいって言ったんだけど…」

「私はこれでいいの」

あいかわらず、眼鏡はつけたままだった。

「犬は何しても一緒だろ」

「……言われなくても分かってますよ…」

「じゃあ、全員そろったことだし!出発しますか」