数分前。

「席替えしてから、この前のテスト返すぞー」

五月中旬。

先週受けた中間テストが返ってくる。

特に難しい問題はなかったし、大丈夫かな?

「おい」

「…」

あ、でも理科のあそこはちょっと怪しいかも…

「おい」

「…え?」

難しい顔をして、私を睨みつける隣の男子。

席替えをして新しく隣になった男子。

名前は確か…

『宇佐美 悠』

クラスの女子たちがよく、かっこいいって騒いでるのが聞こえる。

私にはよくわからないけれど…

怖そうな人だってのは思った。

「メガ…いや合田」

「は、はい」

この人、私の名前知ってたんだ。